AbemaTIMES 3/22(木) 14:01配信
「明け方に突然、足の親指に激痛を感じて目が覚めた!」。
骨折かと思い整形外科に駆け込み、レントゲン撮影をするも結果は異常なし。血液検査をしてみると、痛風が発覚…。恥ずかしいので周囲には「捻挫」といってごまかすものの、満員電車や人ごみで足を踏まれる恐怖に苛まれる。近くにヒールを履いた女性がいると、思わず身構えてしまう。そして少し痛みが引いてきたからとプリン体ゼロのビールに手を出し、また明け方に激痛が…。これがありがちな「痛風ループ」だ。
今、そんな痛風に悩む人が増えているのだという。厚生労働省のデータによれば、痛風の通院患者数は年々増加を続け、2016年の痛風患者の男女内訳は、男性が104.8万人、女性が5.7万人。さらに予備軍は1000万人とも言われているのだ。
そもそも痛風とは、体の中に溜まった尿酸が結晶となり、激しい関節炎を伴う症状が出る病気だ。放置すると心筋梗塞などの合併症を併発し、死に至る可能性もある。両国東口クリニックの大山博司理事長は「突然、炎症を起こし足の指の付け根が腫れ上がり激痛をともなう。それだけでなく、心臓や脳の病気で命にかかわることにつながる。尿酸が血管にダメージを与え、動脈硬化を起こす。慢性の腎臓病、動脈硬化による心筋梗塞、脳卒中といった心臓や脳の血管の病気も起こりやすくなる」と警鐘を鳴らす。
ビールやレバーなど、プリン体が多く含まれる食品を多く摂取するとなりやすいとされることから、“ぜいたく病“とも言われ、山盛りのあん肝にカキ、白子、イカ、エビなど、痛風の原因になるような食材がふんだんに使用された「痛風鍋」というメニューを出す店もある。また、かつてアレクサンダー大王やフビライ・ハン、ナポレオンなど歴史上の人物も痛風に苦しめられたとされ“王の病気“との別称もあるのだ。
そんなイメージから、おじさんの病気と思われがちだが、近年は若者の間にも患者が増えているという。大学の先輩が患者だという20代女性は「週7で飲み会に行っていて、すっごい飲みます。まともな食事をしないというか、居酒屋によくあるようなおつまみ、唐揚げとかポテトフライで生活しているような人。食生活がむちゃくちゃ」と話す。
内科医で作家のおおたわ史絵氏は「小学校の頃、砂糖や塩を水に溶かして実験したように、尿酸が血液に溶けなくなるくらい濃くなると結晶ができる。これが雪の結晶以上に尖っていて、関節を刺したりするため激痛を伴う。温度の低いところに結晶ができやすいため、足の親指が痛む人が多いが、かかとの人もいるし、耳たぶという人もいる。慢性期になると結晶が樹氷のようになって、関節に変形をきたしてしまう。そこまでいくと、どれだけ尿酸値を下げても関節の変形は治らず、尿路結石も引き起こす。薬の力で尿酸値を下げながら生活習慣を変え、自分の力も使って治すのが一般的。魔法のような治療はない」と話す。
■「痛風チェックリスト」、そして予防法は?
前出の両国東口クリニックが監修した「痛風チェックリスト」を見てみよう。3つ以上あてはまれば、痛風になりやすい体質や生活をしている人だという。
・肉や魚、ホルモン料理をよく食べる
・激しい運動をよくやっている
・太り過ぎだ
・お茶や水はあまり飲まない
・食べるのがはやい
・つい食べ過ぎてしまう
・仕事は楽しいが頑張りすぎる傾向にある
・アルコール(特にビール)を毎日飲む
・親や兄弟に痛風患者がいる
・高血圧や脂質異常症、糖尿病である
意外な項目が、運動のし過ぎだ。おおたわ氏は「脱水と激しい運動が重なると発作が起きる。夏のゴルフ場の休憩後にビールを飲み、水分不足になって起きるケースがある」と話す。
また、代表的な予防方法には「プリン体の多い食べ物は控える」「お酒は1日1合程度の適量」「仕事でストレスを溜めない」「肥満防止のために食べ過ぎ注意」といったものがあるが、「尿がアルカリ性だと尿酸と中和して溶けやすくなるため、酢の物や梅干しといったものを日常的にとると尿酸が溶けて捨てられる」(おおたわ氏)。
「そもそも我々の体の中にもプリン体はあって、外から摂取しなくても肝臓で作り出している。腸と腎臓から捨てていて、そのインとアウトの均衡が取れていれば尿酸値は高くならない。また、尿酸値については生活習慣だけが原因ではなく、代謝や産まれながらの病気にも関わってくる」と説明した。痛風を予防するため、“プリン体ゼロ“のビールを飲む人もいるが、おおたわ氏によるとアルコールというもの自体が、プリン体を排泄する力を低下させる。プリン体ゼロだから大丈夫、という話ではない」。
花見、新歓コンパ、歓送迎会…と、お酒を飲む機会が増えるシーズン。くれぐれも要注意だ。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)