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玩具メーカーなどが“夏休み需要”を取り込もうと、「モノづくり」製品に力を入れている。バンダイ(東京都台東区)は自動販売機の工作キットを発売、タカラトミーは組み立て式ロボットを投入した。菓子メーカーも実験ができる菓子を提案するなど、攻勢をかける。為替の円高や株安などを不安材料に家計の消費に陰りが見られる中、子どもの学びにつながる商材で保護者などの関心を誘い、財布のひもを緩める狙い。子どもから大人まで、モノづくりへの興味を高めるきっかけにもなりそうだ。
<バンダイ、タカラトミーがこだわるモノづくり>
バンダイは自動販売機の工作キット「さくっと工作!うまい棒の自販機」を、6月に発売した。合紙を組み立てて、手作りの自販機が作れる。ダイヤルを回すと、スナック菓子「うまい棒」のレプリカや実際の菓子が取り出し口から出てくる仕組みだ。
同社が企画に当たりヒントを得たのが、インターネットの動画投稿サイト。近年、段ボールで自動販売機を作って紹介する動画が人気だという。投稿者も子どもから大人まで幅広く、再生回数も急増している。
同工作キットの消費税抜きの価格は2200円。バンダイは「夏休みの自由研究などで需要が高くなる工作を手軽に楽しめる」として、子どもだけでなく工作に興味を持つ大人も取り込む。
「夏は家族でロボット作りはいかが」と話すのは、タカラトミーだ。同社はカナダのスピンマスター(オンタリオ州)製の組み立て式人型ロボット「メカノイド」2種を販売している。大型は約1200種、小型は約620種の部品を自分で組み立てて完成させるロボットで、完成後はコミュニケーションをとって遊ぶことができる。
約900種の音声単語と動作を組み合わせた、コミカルな反応が特徴。消費税抜き価格は3万―5万円。主な顧客は30―40代男性だが、対象年齢は15歳以上。まとまった時間がとれる長期休暇は、組み立てに絶好な機会。このためタカラトミーは「子どもの夏休み、大人の盆休みをターゲット」に、本格的な夏商戦に向けて力を入れる。
<小学校教師と共同開発>
菓子メーカーも参戦した。クラシエフーズ(東京都港区、池田昇社長、03・5446・3291)は、発売30周年を迎えた知育菓子シリーズ「ねるねるねるね」から、小学校教師と共同開発した「じっけんねるねる」を7月に発売した。自分で粉や水を混ぜ合わせながら、菓子の色が変わったり膨らんだりする仕組みを学べる。
「実験ノート」を付属して実験の様子を記録できるようにしたほか、夏休みの自由研究で学校に提出できる「発表シート」もネットのウェブサイトからダウンロードできるようにした。保護者の購入を見据えて、価格をシリーズ定番製品の4倍の400円(消費税抜き)に設定した。「夏休みの宿題をきっかけに、親子で一緒に実験してもらえたら」(クラシエフーズ)と期待する。
気温が30度を超えた7月中旬。「夏いちご大福」と大きく書かれたPOP(店内広告)が老舗和菓子店、十勝甘納豆本舗(埼玉県川口市)の店内を大きく陣取る。40代の女性客は「この時期にイチゴ大福があるなんてびっくり。夏のイチゴがどんな味なのか気になる」と手に取った。
同店では今月10日から「夏いちご大福」の販売を始めた。使うのは北海道、青森産の夏秋イチゴ。旬の時期に比べてやや強い酸味を生かすことで、さっぱりとした口当たりに仕上げている。
12、1月に出回るイチゴに比べ単価が2~5割高いことから、夏いちご大福には冬、春に販売する通常品よりもやや小ぶりなサイズを使用する。売価は1個280円(税別)で、通常品と変わらない値頃価格に抑えた。
運営する十勝たちばな(東京都世田谷区)は「果皮がしっかりして夏でも傷みにくい。まさにイチゴ大福にうってつけだ」と太鼓判を押す。8月中旬まで販売する。
東京・銀座の老舗レストラン、資生堂パーラーでは夏場の旬果実として、夏秋イチゴに目を付ける。同社が銀座本店に構えるサロン・ド・カフェでは、夏秋イチゴ「恋姫」を使ったパフェを販売する。季節の果実を使ったパフェは同店の看板商品。桃やマンゴーなど真夏のパフェの一つとして、メニューの先頭に並ぶ。
この店では、これまでも夏場にイチゴパフェを提供していたが、5年前に原料を輸入物から長野産の夏秋イチゴ「恋姫」に変更したことをきっかけに、人気が沸騰した。レギュラーメニューの一つにすぎなかった夏のイチゴパフェが、真夏の「目玉商品」へと変貌したという。
夏秋イチゴは気温が高過ぎると生育が鈍り、供給が不安定になる時期がある。一時的に品薄に陥ることもあり、同じ産地、品種を安定して仕入れ続けるのは難しい。
夏秋イチゴの中でも糖度の高い「恋姫」の使用にこだわる同社は、長野県に専用ハウスを保有。品薄となっても仕入れを欠かさないような体制を整える力の入れようだ。
同店は「恋姫のパフェを目当てに来店するお客もいる。夏の果実として、確実に定着してきている」と強調する。
夏秋イチゴ産地、北海道の百貨店、丸井今井札幌本店(札幌市)は今月5~12日に道産のブランド夏秋イチゴ「なつみずき」を使ったスイーツフェアを開いた。シュークリームやモンブランなど5種類のスイーツを販売。10~30の個数限定で売り出したところ、開店から3時間で売り切れるほどの人気だった。今回は「なつみずき」の商標登録を記念したフェアだったが、「予想以上に反響が大きく、来年の開催も考えている」(広報担当)という。(金子祥也)